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不通

電車が人身事故のため、不通。
駅のホームで待つしかない。

向い側のホームに、作業所の帰途と思われる自閉症の青年がいる。
体をゆらゆらさせて、時間を潰している。
青年が、電車が来ない理由を理解しているとは、思えない。
だいじょぶか?
電車が動き出すまで、待てるだろうか。

青年の姿が消えた。

やばい。パニクったか?
ホームから階段を降りて、駅の中を探す。

いない!

どこに行った!?
私がハニクリそう。

あ!青年がトイレから出て来た。
ホームへ通じる階段を登って行った。
ホームにある椅子に座って腕組みした。

ああ、よかった。

青年は、階段を見つめている。


あれ?また、消えた。
どこへ行った?
階段を駆け下りる。
青年は、改札口の内側にいた。
良かった。

改札口の外側で、構内に入れてもらえない利用者が大勢溜まっている。


青年は、改札口を挟んで、大勢の人達を見つめて困惑している様子。
異様な光景だもんなぁ。。


パニクる前に、話しかけてみようか。
逆に、知らないおばさんに話かけられたら、パニクるかな?

どうする?私?


えい、ままよ!!!

話しかけてみた。
青年は、身体を斜めに向けた。逃げたいようす。

待って、お願い、待って。大きな声はださないように気をつけた。

「お家に電話をしようか?」
青年は、短く、「うっ」と発声したけど、言葉にならない。


青年の服の上から、青年の手首を軽く掴んで、駅の事務所に連れて行った。


「この人、全然しらない人だけど、自閉症だと思います。お家に連絡したいのだけど。どうしたら、いい?」

駅員は、「そ。。」   そんなことを言われても。。。と言いたいようす。

青年に、「お家の電話番号、わかる?」
青年は、「うっ」

青年が磁気パスを持っているので、「パスを見せて。」と頼んだ。
青年は、嫌がらなかっった。

駅員さんが、パスから電話番号を読み取った。
電話をかけてくれたけど、応答なし。
家の電話のようだ。
親とか、ケアマネージャーとか、誰かの携帯電話を登録しておくべきだよ。

仕方がないので、電車が動き出すまで、ホームで一緒にいることにした。
青年が電車に乗るところまで、付き合うことにする。
駅員さんにも、そう伝えた。

タブレットに易しいゲームをダウンロードしておいて良かった。
タブレットの表面を触ると、カラフルな虫が湧いて這い回るゲーム。
文字で表現すると、気持ち悪いようだけど、大丈夫。

青年と遊んでいたら、お母さんが迎えに来た。
「すいません。すいません。」と繰り返し言われた。

良かった。
私にできる精一杯だった。


次男がどこかで困っていたら、誰か、助けてやってほしい。
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テーマ : 自閉症
ジャンル : 福祉・ボランティア

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プロフィール

Protea Mama

Author:Protea Mama
7年余、楽天ブログを書いていました。いろいろな機能が終了になるということなので、FC2ブログに移動しました。楽天ブログには「フリーページ」があります。大変ありがたい機能ですので、楽天ブログも大事に置いておこうと思います。良かったらご覧ください。

私が「障害児の親になったのだ。」と気づいた頃は、情報を得ることが難しくて、子の将来の姿も、自分の将来の姿も想像できませんでした。どんな未来が待っているのか、不安で不安で。だれか、知らせて。だれか、見せて。。。と誰かをつかまえて訊きたかったのです。だから、今の次男の様子を書いておこうと思います。それを読んで、ガッカリする人もあるかもしれません。安心する人もあるかもしれません。ともかく、私達は今、生きています。親子無理心中事件は起こしませんでした。これからもないことを願っています。次男は、コロニーや施設ではなくて、街中で生活して、成人して、やがては老いていく初めての世代の障害者だと思います。どんな生活が有り得るのか、親亡き後の次男の生活は幸福なものになるのか。次男に親を独占されて、すね気味に大人になってしまった長男を真に解放してやることができるのか。。手探りの毎日です。

希望は強い勇気であり、新たな意志である。

すべてのことは、願うことから始まる。

我々にとって深遠なものは、逆の相の下に隠されている。生は死の下に、愛は憎しみの下に、義は罪の下に、力は弱さの下に隠されている。

いずれも、マルティン・ルター の言葉です。
私はクリスチャンではありませんが、とても良い言葉だと思います。

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