思い切れない。

次男とふたりで帰り道、地下鉄に乗っていました。
つり革をもって揺られていると、私の視界の端を彼が通った。
少しポッチャリ気味の後姿。
半袖Tシャツとヒザ下丈の半ズボン。
私の自閉症センサーが反応した。
私以外は気づいていないだろう。

「はぁ。。」と強めのため息の後、「どいてください!」 とハッキリ言った。
ハッキリと聞こえた。

振り返ると、彼が、座席に座ってスマホを使っている男性に向かって言っていた。

「どいてください!」

な、な、何を言っているんだ!?
私は、狼狽えた。

男性は、一瞬、固まった。
が、すぐに、席から立って、彼に譲った。

”あああ!?”

男性の座っていた席は、彼の好きな席だったのか。
それでも、「どいてください!」 て、強引に席を奪ってはダメだ。

たまたま、優しい男性だったから席を譲って下さったけれど、「ああん!?おまえ、ナニ言うてんねん!!」 と反応する人だっているはずだ。
たまたま、今日の男性は、”あっ!? 障害者だ。” と 感じとったから揉めなかったのだ。

私の膝が、グワ~~ン と重くなった。
重い。重い。重い。


次男は、彼と同じことはしない。
出来ない。
知らない人に、「どいてください!」と言う押しの強さと能力がないから。

その代わりに、次男は、CMの音楽とか、セリフとかを口ずさんで、延々とワンマンショーを繰り広げているだろう。
車両やホームで次男と居合わせた人達が、気持ち悪いと感じて、ザザザーッ と音をたてて次男の歩く動線から退避していくのだろう。

障害者は、他者に迷惑をかけないでは、生きていけないのだ。
わかっている。
ずっと以前から、わかっている。
わかっているけど、全面的に、”しようがないさ。” とは思い切れない。


----------------

どうしたら、迷惑をかける頻度を少なくできるのか、迷惑の大きさを小さくできるのか。。
頭のなかで、何かがグルングルン回っている。
遠心力が増して、私の頭を振り回す感じがする。

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テーマ : 自閉症児の親
ジャンル : 福祉・ボランティア

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プロフィール

Protea Mama

Author:Protea Mama
7年余、楽天ブログを書いていました。いろいろな機能が終了になるということなので、FC2ブログに移動しました。楽天ブログには「フリーページ」があります。大変ありがたい機能ですので、楽天ブログも大事に置いておこうと思います。良かったらご覧ください。

私が「障害児の親になったのだ。」と気づいた頃は、情報を得ることが難しくて、子の将来の姿も、自分の将来の姿も想像できませんでした。どんな未来が待っているのか、不安で不安で。だれか、知らせて。だれか、見せて。。。と誰かをつかまえて訊きたかったのです。だから、今の次男の様子を書いておこうと思います。それを読んで、ガッカリする人もあるかもしれません。安心する人もあるかもしれません。ともかく、私達は今、生きています。親子無理心中事件は起こしませんでした。これからもないことを願っています。次男は、コロニーや施設ではなくて、街中で生活して、成人して、やがては老いていく初めての世代の障害者だと思います。どんな生活が有り得るのか、親亡き後の次男の生活は幸福なものになるのか。次男に親を独占されて、すね気味に大人になってしまった長男を真に解放してやることができるのか。。手探りの毎日です。

希望は強い勇気であり、新たな意志である。

すべてのことは、願うことから始まる。

どちらの言葉も、マルティン・ルター の言葉です。
私はクリスチャンではありませんが、とても良い言葉だと思います。

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