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通勤の様子をライブ中継

今朝、次男から電話があった。

私は、「はい、は~~い」と返事をしたのだけれど、次男から返答がなかった。
うん?!どうした?!

どうやら次男は私に電話をかけたつもりはないらしい。
どうかして、ボタンを押してしまって私にかけてしまったのだけれど、次男は気がついていないようだ。

次男の歩みにあわせて携帯電話が衣服に摺れて カサッカサッ カサッカサッとリズムを刻む。
フンフンフン♪ と次男が鼻歌を歌っている。

♪ターボレンジャー♪うっまれた時、あたえら~~~れた♪

えらく昔のこども番組の主題歌を歌っている。


クシャミ、鼻水、鼻つまりに、コンタック600!

これまたえらく昔のCMだわ。


次男が首から下げているのは、子供用の携帯電話だけど、どの携帯電話でもこんなにしっかり聞こえるのだろうか。
折りたたむ形ではないから集音しやすいのかな。

次男はずっと楽しそうにつぶやき続けている。
ずっとこのまま聞いていたくなった。
通勤のライブ中継のようだ。
なかなか無いことだ。

次男が気づいて電話をオフにするか、なにかの拍子でオフになるまで聞き続けることにしよう。
私のスマホに片耳のイヤホンをつけた。



地下鉄の車両がカタカタッ!!カタカタッ!!と音を立てて揺れている。
「○○~~!○○!」次男が乗車した駅からひとつめの駅の名前だ。
次男は5つ目の駅で路線を乗り換える。
乗り換えた駅から6つ目の駅で下車する。



ザザザッ!ザザザッ!ザザザッ! 大勢の人が移動する気配。

次男の独り言は間断なく続く。

♪パット♪ピット♪ポン♪ポアポアポン♪合言葉はいっつもポアポアポン♪



シンノスケ!くれよんしんちゃんカレー買ってきて~~

は~~い!

うまいぞ、ミサエ!!



次男は花粉症なので、鼻がグズグズするので。



鼻水がもとにもどったぁ!(^^)/


いや、戻ったわけじゃないけどさ。
ツッコミをいれたくなるけど、がまん、がまん。



次男を一人で通所させる前は、1年間くらいともに通ったので、地下鉄車両の中や駅の次男の様子は想像できる。
どう見ても成人男性の次男が、ものすごく大きな声ではないけれど、楽しそうにかわいい歌やCMのセリフを間断なく言っている姿は、ハッキリと知的障碍者だとわかる。

わかったら、「あっ、障害者ね。」と納得する人もある。
わかったら、サッと席を立って隣の車両に移動する人もある。

わかったから、カツアゲされたこともあったようだ。
次男は説明できなかったけど。

なににしても、次男は落ち着かない、変に見える人だ。


どうか、変な人が同じ空気を呼吸していること。
同じ車両に乗っていることを黙認してほしい。
いつも清潔な身なりをして悪臭はないし、だれかに絡んでいくこともないので。


地下鉄のアナウンスが聞こえなくなった。
次男が地下鉄車両を降りて、改札口を出たのだ。
足音が反響している。
地下の長い通路を歩いているのだ。


ザンッ!ザンッ! と空気が動く音がする。
次男が地上に出たのだ。
ここから作業所まで徒歩で行く1.5km。
信号機のメロディーが聞こえる。
日陰がなくて夏は暑い。
冬は風を避けるものがない。

タタッ!タタッ!タタッ!タタッ! 次男がステップを刻むように歩いていく。
タタッ!タタッ!タタッ!タタッ!
タタッ!タタッ!タタッ!タタッ!



おはようございます!


次男の実年齢の割には可愛い声が響いた。
作業所に到着した。
次男は、リュックやポーチを持ち物箱に入れて、汗をかいた下着を取り換えて作業に取り掛かるのだ。

電話を切った。

今朝は、偶然に次男がひとりで通勤する様子を聴くことができた。
誰かが私にプレゼントをくれたように思う。
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テーマ : 自閉症
ジャンル : 福祉・ボランティア

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プロフィール

Protea Mama

Author:Protea Mama
7年余、楽天ブログを書いていました。いろいろな機能が終了になるということなので、FC2ブログに移動しました。楽天ブログには「フリーページ」があります。大変ありがたい機能ですので、楽天ブログも大事に置いておこうと思います。良かったらご覧ください。

私が「障害児の親になったのだ。」と気づいた頃は、情報を得ることが難しくて、子の将来の姿も、自分の将来の姿も想像できませんでした。どんな未来が待っているのか、不安で不安で。だれか、知らせて。だれか、見せて。。。と誰かをつかまえて訊きたかったのです。だから、今の次男の様子を書いておこうと思います。それを読んで、ガッカリする人もあるかもしれません。安心する人もあるかもしれません。ともかく、私達は今、生きています。親子無理心中事件は起こしませんでした。これからもないことを願っています。次男は、コロニーや施設ではなくて、街中で生活して、成人して、やがては老いていく初めての世代の障害者だと思います。どんな生活が有り得るのか、親亡き後の次男の生活は幸福なものになるのか。次男に親を独占されて、すね気味に大人になってしまった長男を真に解放してやることができるのか。。手探りの毎日です。

希望は強い勇気であり、新たな意志である。

すべてのことは、願うことから始まる。

我々にとって深遠なものは、逆の相の下に隠されている。生は死の下に、愛は憎しみの下に、義は罪の下に、力は弱さの下に隠されている。

いずれも、マルティン・ルター の言葉です。
私はクリスチャンではありませんが、とても良い言葉だと思います。

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